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経営している会社を廃業しようと思っても、何をしたらいいのかわからない方も多いと思います。
会社を正式に畳むには、単に事業をやめればよいのではなく、事業を停止した後、解散と清算の手続を経る必要があります。
解散は株主総会の決議等により行われ、会社の清算手続の出発点になるものです。
会社の解散後、清算人や破産管財人により会社の資産と債務の清算が行われます。
そして、これらの手続が終わると会社(の法人格)が消滅します。
会社が廃業する、つまり会社をたたむためには、単に、事務所や工場などを閉めて仕事をやめるだけでは足りません。
それだけでは、会社の資産や債務(負債)がそのまま残ってしまうからです。
会社がきちんと「廃業」するためには、会社を「解散」して会社財産と債務を「清算」することが必要になります。
後記のとおり、会社法には、会社が解散になる7つの原因が定められています。
会社は、解散後、その財産で債務を全部支払える場合は「通常清算手続」により、会社の資産では不足する場合は「特別清算手続」か「破産手続」により、清算を行います。なお、ちょっと説明が難しくなりますが、破産手続では、解散してから破産するのではなく、裁判所の破産手続開始決定により自動的に解散になります。
これらの清算手続が終了すれば会社は消滅するので、「廃業」が完了したといえます。
以下では、会社が「廃業」するために必要な「解散」と「清算」について、その内容と手続の流れを詳しくご説明します。
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会社の解散とは、企業活動をやめて会社を消滅させる一連の手続の出発点のことです。
会社法では、会社の解散原因として下記の7つが定められています。
解散の理由として、最も多いのは3つめの「株主総会の決議」です。
業績不振のため事業の継続が困難、資金繰りがもたないので会社を閉めたい、後継者がいないため廃業したい、というようなケースでは、3の「株主総会の決議」や5の「破産手続開始の決定」により会社が解散することになります。
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何らかの事情で会社を畳むことになった場合、単に閉業、解散しただけでは会社は消滅しません。
それだけでは、会社に資産と負債が残ったままの状態になってしまいます。
そこで、清算手続を取って、会社資産の売却や債権の回収を行い、その資金で債務の弁済を行う必要があります。
その清算手続は、会社の状況によって2つの方法に分かれます。ひとつは「通常清算」で、もうひとつは「特別清算」や「破産」などのいわゆる「倒産手続」です。
清算手続が終了すると会社は消滅します。
会社の解散とは、会社(の法人格)を消滅させる手続の出発点になるもので、株主総会の決議や破産開始決定等によって会社は解散します。
他方、会社の清算とは、解散した会社が資産の売却や債権の回収を行い、その資金で債務の弁済を行って、会社の資産と債務を清算することです。
従って、まず、解散をし、その後清算手続を行うという順番になります。
このうち、「通常清算」というのは、解散した会社が残った債務を全額支払うことができる場合に取られる清算方法です。
会社自ら(会社の清算人)が、会社資産である売掛金や在庫などを換価回収して、集まった資金で債務を支払い、清算手続を完了します。
いわゆる「倒産手続」ではないので、裁判所の監督を受けることもありません。
清算人というのは、会社が解散した後、会社の清算手続を行う人です。
清算人は、取締役がそのまま就任する場合や定款に定められている人がなる場合、株主総会で選任する場合があります。
清算人の主な任務は、会社の資産を換価回収して債務を弁済すること、及び債務の弁済後に財産が残る場合は株主へ分配することです。
なお、破産開始決定により会社が解散した場合は、清算人ではなく、裁判所から選任された破産管財人が清算手続を行います。
「特別清算」というのは、会社が債務超過、つまり、残っている会社資産では債務を完済できない可能性がある場合などに取られる清算方法です。
つまり、債務超過の場合は、通常清算の方法では会社を清算することができないのです。
「特別清算」を行う場合は、裁判所に「特別清算」の申立てをして、裁判所の監督の下で会社の清算を行うことになります。
特別清算と並ぶ「倒産手続」に「破産」があります。
破産手続も、残っている会社資産では債務を完済できないような場合に取られる清算手続です。
破産手続で会社を清算する場合も、特別清算と同様に、裁判所に「破産の申立て」を行い、裁判所の監督下で清算を進めます。
特別清算と異なる点は、破産手続を開始するときに裁判所が「破産管財人」を選任し、この破産管財人が清算手続を行うことです。
なお、倒産手続では、特別清算手続ではなく、「破産手続」の利用が多いのが実情です。
また、破産手続は、株式会社以外の法人も利用できますが、特別清算を利用できるのは株式会社だけです。
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このページをご覧になっている方の中には、会社を倒産・破産させるべきかどうかで迷っている方が少なからずいらっしゃると思います。
そのような方のために、倒産専門弁護士がお悩み別に倒産・破産すべきタイミングを解説しているページをご用意いたしました。
少しでも倒産・破産をお考えの方は、下記リンク先のページも合わせてご覧ください。
法務局で、会社が解散したことや清算人の氏名等の登記を行います。
会社の清算を行う「清算人」は、「会社の経営者」か「弁護士」がなることが一般的です。
会社が解散した場合に誰が清算人になるのかについては、あらかじめ定款に定めておくか、株主総会で清算人になる人を決定します。これらの方法で清算人を決めない場合は、解散時の取締役がそのまま清算人になります。
官報公告により、債権者に会社の解散を知らせ、一定期間内に債権申出(届出)を行うように求めます。
会社が認識している債権者には、個別に債権申出を求める通知を送ります。
官報というのは、国が発行している新聞のようなものです。官報には、企業の決算公告なども掲載されます。
官報は、都道府県庁所在地にある「官報販売所」で買うことができます。
また、ウェブサイトでも閲覧でき、過去30日分は無料で見ることができます。
清算人が財産目録・貸借対照表を作成し、株主総会の承認を受けます。
財産目録というのは、個々の現預金や売掛金、在庫などの資産、借入金や買掛金などの負債及び正味資産を記載した明細表のことです。
それに対して、貸借対照表は、財産目録をベースに会社の資産と負債の概要を表したものです。
どちらも、原則として、解散日現在の処分価格をもとに作成されます。
在庫、不動産、有価証券その他の資産を売却し、売掛金や貸付金などの債権を回収します。
廃業した会社の資産をバラバラに分解して処分しようとすると、どうしても低価格になってしまいます。
事業の一部に魅力を感じてもらえる部分があるようなら、同業他社や取引先などに事業譲渡の打診をすることも考えられます。
STEP5で集めた資金で会社の債務を支払います。
清算人が換価回収した資産では会社債務のすべてを支払いきれないことが判明した場合は、通常清算から「倒産手続」への切り替えが必要になります。
その場合には、清算人は、裁判所に、いわゆる倒産手続である「特別清算」か「破産」の申立てをすることになります。
全ての債務を支払ってもまだ財産が残る場合は株主に分配します。
STEP6で、税金や社会保険料を含めてすべての会社債務を完済できた場合は、会社に残った財産(資金)は、出資者である株主に支払われます。
清算人が決算報告を作成し株主総会の承認を受けることにより、会社の法人格が消滅(会社が消滅)します。
決算報告書には、清算手続中の収入、支出した費用、残余財産の額、一株当たりの分配額などが記載されます。
法人格というのは権利や義務の当事者となることができる資格のようなもので、人だけでなく会社などの法人も法人格を持っています。
清算手続が終了して、手続期間中の決算報告が株主総会で承認されることにより、会社の法人格が消滅します。
法務局で清算結了の登記手続を行います。これによって会社の登記簿は閉鎖されます。
法務局に提出する清算結了登記の申請書には、株主総会が決算報告を承認したことの証拠として、株主総会議事録と決算報告を添付することになっています。
総会の決算報告承認によって既に会社は消滅していますが、登記を行うことにより、社会一般に会社の消滅を公示するわけです。
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会社を解散して清算人を選任したら、その登記を行う必要があります。また、清算手続が終了したら、清算決了登記を行います。これらの登記を行う際、法務局に納める費用を登録免許税といいます。
解散した会社には、債権者に解散を知らせ、一定期間内に債権申出(届出)を行うように求める官報公告(解散公告)を行う義務もあります。官報というのは国の新聞のようなもので、そこにこの公告を載せます。
これらの手続にかかる費用(実費)は次のとおりです。なお、手続を専門家に依頼する場合は、別途、専門家の手数料がかかります。
解散・清算人選任登記費用 | 39,000円(登録免許税) |
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清算決了登記費用 | 2,000円(登録免許税) |
官報公告費 | 4万円前後 |
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会社の資産内容等によって手続にかかる期間は変わってきます。
処分や回収に時間がかかる資産がない場合は半年程度、不動産の処分や売掛金の回収に時間がかかるような場合は手続終了までに2年以上かかることもあります。
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ここまで、会社の「廃業・解散」と「清算」、そして、その流れについて解説してきました。
しかし、会社の資産を全部処分しても、負債を支払いきれない場合もあります。
私がご相談を受けるケースのほとんどは、そのような「債務超過」になっているケースです。
このような場合には、通常の清算手続(通常清算)では処理ができません。破産手続や特別清算手続などの清算型倒産手続で処理するしかありません。
特別清算や破産の詳細な流れは、このあとにご説明していますのでそちらをご覧ください。
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井上玲子は、会社倒産や再建に関する書籍の執筆も行っております。