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特別清算による会社の債務整理の方法

特別清算による会社の債務整理の方法

特別清算とは?

会社を解散したうえで、裁判所に特別清算の申立てを行い、裁判所の監督下で、清算人が、会社の全ての財産を売却・回収すると共に、弁済額やその支払方法などについて、各債権者と個別に和解するか、債権者集会で会社の提案を認めるかどうかを多数決(出席債権者の頭数の過半数かつ総議決権額の3分の2以上の同意が必要)で決定します。

会社は、和解や決定内容どおりに債務を支払い、最終的には会社は消滅します。

この会社を清算する一連の手続きを特別清算手続きといいます。

この手続きは株式会社しか利用できません。

特別清算が可能な状況とは?

特別清算は破産と異なり、弁済額やその支払い方法について債権者の多数決が必要です。

債権者集会で否決された場合は、結局破産手続きを取らざるを得ないため、二度手間になります。

そのため、特別清算を選択するのは、親会社が唯一の債権者であるようなケースで親会社が子会社を整理する場合や、メインバンクに債権が集中するなど、債権者が少数でほぼ間違いなく可決が見込めるような場合に限定されます。

また、税金・社会保険料債権、労働債権が多額に上り、一般債権まで配当が回りそうにない場合はこの手続きは使えません。

そのため、破産に比べて特別清算の申立ては極めて少ないのが現状です。

年間の特別清算申立件数は全国で300件前後で、企業の破産申立件数の30分の1程度しかありません。

特別清算のメリット・デメリット

メリット

  • 裁判所の監督のもとに行われる清算手続きのため、公正な処理が行われることについて債権者の信頼が得られやすい
  • 破産に比べて裁判所に納める予納金の額が低額
  • 破産管財人のような第三者が手続きを主導するのではなく、会社自らが清算処理を行うため、債権者の了解する範囲で柔軟な処理ができる

デメリット

  • 可決要件を満たす同意を取り付けるのが難しい
  • 弁済案を否決されたら破産手続きを取るしかなく、結局、二度手間になる
  • 借入金や仕入債務などの一般債権に優先する税金・社会保険料債権、労働債権が多額に上り、一般債権まで配当が回りそうにない場合はこの手続きは使えない
  • 第三者の管財人ではなく、会社経営者が自ら清算手続きを行うことに反発する債権者もあり、スムーズに清算処理が行えない可能性がある
  • 株式会社しか利用できない

特別清算(協定方式)の流れ

株主総会の解散決議

まず、株主総会の特別決議で会社の解散を決議します。
解散後は、取締役に代わって清算人が会社の管理を行います。

清算人の職務内容

清算人の職務内容は次のとおりです。

  • 仕掛り等の残務を完了させる
  • 裁判所に特別清算の申立てを行う
  • 債権者に債権の届出をしてもらい、負債を確定させる
  • 裁判所の監督の下で会社資産の売却や回収を行う
  • 債務の弁済内容について協定案を作成し、裁判所に提出する
  • 協定が可決され裁判所に認可されたら、その内容に従って債権者に弁済を行う
誰が清算人になるのか

清算人にはそれまでの経営者か弁護士が就任するのが一般的です。

債権の届出を求める官報公告

官報公告により、債権者に会社の解散を知らせ、一定期間内に債権申出(届出)を行うように求めます。

会社が認識している債権者には、個別に債権申出を求める通知を送ります。

官報公告とは?

官報というのは、国が発行している新聞のようなものです。官報には、企業の決算公告なども掲載されます。
官報は、都道府県庁所在地にある「官報販売所」で買うことができます。
また、ウェブサイトでも閲覧でき、過去30日分は無料で見ることができます。

裁判所に特別清算の申立て

特別清算開始申立書に添付書類を添えて、本店所在地の地方裁判所に申立てを行います。

誰が申立てをするのか

通常は清算人が申立てを行いますが、債権者や監査役、株主にも申立権があります。

どんな書類を用意するのか

申立書のほかに、添付書類として次のような書類を用意します。

  • 会社の登記事項証明書(会社謄本)
  • 定款
  • 解散を決議した株主総会の議事録
  • 直近2~3年の決算書
  • 株主名簿
  • 債権者一覧表
  • 財産目録・清算貸借対照表
  • 清算人の履歴書
  • 債権者の特別清算申立てに対する同意書
  • 債権申出催告の官報公告の写

特別清算開始命令

債務超過(の疑い)などの特別清算の開始原因があり、法律が定めるそのほかの要件も満たしていることが確認できたら、裁判所は特別清算開始命令を出します。

開始命令が発令されると、そのことが官報に公告されるとともに登記も行われます。

開始命令の効果

開始命令が出ると会社の清算手続きは裁判所の監督下に入り、清算人が財産の処分などを行うには、STEP8に記載しているとおり、裁判所の許可が必要になります。

負債額の確定

債権者からの債権申出(届出)に基づいて、清算人が債権の存否と金額を調査します。

会社が認識している債権は、届出がなくてもカウントされます。

裁判所に協定案を提出

会社(清算人)が債権者との協定案を作成して、裁判所に提出します。

協定案とは、債務の処理方法について債権者と集団的に和解するために会社が作成する和解案のことです。

債権者集会で特殊な多数決によって決議され、可決されれば協定案に反対の債権者も拘束される点が、個別に個々の債権者と和解する方式と異なります。

協定案にはどんなことが記載されるのか

協定案には、弁済の時期・弁済率・残りの債務の免除・担保付債権の処理方法等について記載されます。

債権者集会での協定案の決議と裁判所の認可

裁判所で開催される債権者集会で、会社が提出した協定案(弁済計画)を認めるかどうかが決議されます。

協定案は、書面投票者を含む決議参加債権者の過半数、かつ、総議決権額の3分の2以上の賛成があれば可決されます。
協定案が可決された場合、裁判所は、協定が遂行される見込みがないなどの一定の場合を除き、協定を認める認可決定を出します。

協定案が否決された場合

破産原因があると考えられるときは、裁判所は職権で破産開始決定をすることができます。この決定があると、手続きが特別清算から破産手続きに移行します。
また、会社自ら破産の申立てを行うこともできます。
破産手続きは債権者の多数決制ではないため、債権者の同意が得られなくても破産管財人によって会社の清算を進めることができます。

協定の内容の実行

会社の提案した協定(弁済計画)が債権者集会で認められ、それに対する裁判所の認可決定も確定したら、会社は、協定の内容どおりに債権者に弁済を行います。
そのために、清算人は、会社に残っている売掛金などの債権を回収し、在庫や不動産などの全資産を売却処分して、支払資金を確保します。

裁判所の監督

財産の処分は、会社が自由にできるわけではありません。

100万円を超える財産を処分するときは、裁判所の許可が必要です。

それ以外でも、次のような場合は裁判所の許可が必要になります(ただし、2~5は100万円以下であれば許可不要)。

  1. 事業譲渡
  2. 借り入れ、手形振り出し・裏書き
  3. 裁判を起こすこと
  4. 和解すること
  5. 権利の放棄
  6. その他裁判所が指定する行為

裁判所の特別清算終結決定と終結の登記

協定の内容どおりに債務の弁済が完了したら、裁判所は、特別清算の終結決定を行います。
協定で残債務の免除が定められているので、この段階で会社の資産と負債は0の状態になっています。

特別清算終結決定が確定したら、特別清算終結の登記がなされます。

終結決定確定の効果

終結決定の確定により会社の法人格が消滅します。これによって、会社は消滅します。

法人格というのは権利や義務の当事者となることができる資格のようなもので、人だけでなく会社などの法人も法人格を持っています。

協定方式ではなく、個別に和解して返済することも可能

上記の協定方式以外に、それぞれの債権者と個別に和解し、その内容について裁判所の許可を得て和解内容を実行する方法もあります。

個別に和解する方法は、債権者数が少なく全員の同意が得られることが明確なケースで用いられることが一般的です。

その他の清算型倒産手続き

会社自身が各債権者と話し合い、弁済額や弁済方法に同意をしてもらって債務整理を行い、会社を清算する方法です。

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裁判所に破産申立を行い、裁判所の監督のもとで、破産管財人が会社の財産を売却・回収して債権者に支払いをし、会社を清算する方法です。

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弁護士・井上玲子

会社や事業の再建、債務整理、破産、倒産といった分野を専門とする弁護士です。

著書・執筆

井上玲子は、会社倒産や再建に関する書籍の執筆も行っております。

  • 倒産・再生再編六法(2008年版)/民事法研究会 編集協力
  • 新倒産法の実務/第一法規 執筆分担
  • 破産実務Q&A150問/金融財政事情研究会 執筆分担

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